お知らせ

2022.02.18研究会

第17回研究会 Bavuah(バヴア)(戸澤典子・井川・アティアス・翔)「「だれも知らないイスラエル」から究極の移民社会を見る」

 『だれも知らないイスラエル:「究極の移民国家」を生きる』は、グラフィック・ノベル制作ユニット・バヴアが編著したものです。
 イスラエルは1948年に建国した移民国家で、日本の四国ほどの大きさの国です。そこには、東西ヨーロッパ、旧ソ連諸国、北米・南米、中東・北アフリカ諸国、エチオピアやアジアからユダヤ人が移住するだけでなく、フィリピン・中国といったアジア諸国やエリトリア・スーダンからの移民・難民労働者も暮らしています。一方、イスラエル生まれ(サブラ)の人口も68%となり、サブラとディアスポラのユダヤ移民との関係、エスニシティ集団間や世代間の分断に加え、個人の宗教的志向、政治的志向が加わり、社会をクロスカットする複数のレイヤーが存在しています。さらに、イスラエルの教育システムが4つの集団に分けられていることも社会的な分断の一因のようです。イスラエルはパレスチナとの紛争を現在も抱える一方、このような多くの歪みも社会に抱えています。
 今回の発表では、「移民」という視点からイスラエル社会の実態をバヴアの作品制作を通してお話していきます。日本の移民状況とは異なるイスラエルですが、高齢化を迎える日本にとって移民は必要な存在であり、日本の先をいく移民社会イスラエルの考察を通して、社会の中で「他者」と位置付けられる人々を、理解できる「他者」としてどのように社会に包摂をしていくのかを バヴアの作品や制作を通して考えていただける機会となればと思います。